いつも思うLB

出遅れLファンの雑記帳です。Bも一緒に愛しています。最初にカテゴリーの「ごあいさつ」をご覧下さい。
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消されたデータ そして遺されたもの

*「小説すばる」ネタバレです。*


「L change the WorLd」を読み進むうちに強くなっていった違和感。それはN(ニア)の登場でした。そして、本来なら双子のようにセットになっているはずの、M(メロ)の不在もです。
原作者が13巻で言っているとおり、この二人が原作に登場したのは、Lでも倒せなかったキラに相対するには一人では力不足だったからです。であれば、キラがいなくなった「L change the WorLd」の世界には、ニアもメロも必要ないのです。
あ、誤解なさらないで下さいね。「あの小説にこの二人が出ると違和感がある」のであって、私は二人とも大好きですからね。

ついでに言うなら、ここまで原作とは違う展開を見せた映画版そして小説なら、ニアはもちろんですが、いっそメロもマットも生きているってことで、全員名前だけでも登場させたって良かったんじゃないですかね。
「K」なんていう、一度の失敗でワイミーズハウスを逃げるように出て行った人物を登場させるくらいなら。
自分に成り代わって全世界の警察組織を動かす座に就いた人物を『過保護で苦労知らず』と捉えるほど、苦しんでいるのは自分だけと思い込める周りの見えない幼い人物を登場させるくらいなら。
苦しみ抜いて絶望し、斜に構えた人間はかっこ良さげですが、本当に何かを成し遂げることが出来るのは、その絶望の中になお希望を見出そうとする意志を失わない人間の方です。
Lや真希ちゃん、駿河、抗ウイルス薬を作った高橋のように、自分が見下してきた側の人間の言葉にようやく目が覚めるK。どれだけ視野が狭いんだと、唖然としながら読みました。

私にとって大人とは、「子供を守る者」です。「種の未来を守る者」です。その意志を持たない者は、何十年生きていようと、ただ年を取っただけの人間です。そういう意味では真希ちゃんも大人でしたね。
子供は体が小さいから、みんな勘違いするんです。でも忘れちゃいけない。背が低くても、手足が短くても、心は決して小さくなんかないんだから。
真希ちゃん。いい名前ですよね。「真の希望」だ。

違和感はありましたが、ニアの登場自体は嬉しかったんです。私はL(とワタリ)の次にニアやメロが好きだし、真希ちゃんやニアのように、未来と希望を託せる子供が残ってくれたことは、Lにとってどれほどの救いになっただろうと思うので。

*****

原作でLが死んだと知らされた時の「ゲームは勝たなければ パズルは解かなければ ただの敗者」というニアの言葉を、Lを評したものと捉え、冷たいと感じている方もいらっしゃいますよね。でも私には、この言葉は、ニアが自分自身に言い聞かせたものに聞こえるんです。

私は数年前に父を亡くしました。病気が進行していて手の施しようがないという検査結果を知った時、真っ先に思ったのは、そんなバカな、何かの間違いじゃないのか、などという抵抗ではなく、家族を一人失うその瞬間への覚悟でした。
最悪の事態を一瞬で受け入れてしまえば、状況がそれ以上悪くなることはない。もしかしたらと期待をして裏切られた時に自分の受けるダメージを、最小限にとどめるための防衛策のようなものです。要は逃げであり諦めでした。
もちろん、ニアの言葉が逃げや諦めだと考えているわけではありません。
Lは死んだ。負けたのだ。その事実を認め、よけいな感情を切り捨てて対処しなければ、次に死ぬのは自分。
そんな静かな覚悟を決めるための言葉だと、私は感じました。

メロとの協力も叶わず、一人残されたニア。何もないところから単独で3年以上キラ事件を調査し、キラ対策機関の創設にまでこぎつけるには、さすがの彼でも相当な苦労があったことでしょう。データを残さなかったLの行為を、あとに続く者への裏切りだと考えた方もいらっしゃるようで、ニアがLをそういうふうに見ている、という同人ストーリーを読んだこともあります。
ですが、私にはそうは思えません。

自分の知っているLであれば、それまでの捜査資料を何らかの形で残さないはずがない。ニアは当初そう思ったはずです。そして懸命に調べたはずです。しかし本当に何も残されていなかった。

あのLが、データを残すことを危険と考えて、すべて消去した。それほどの危険とは何か。

近くに敵(キラ)がいたからだ。
それしか有り得ない。

だとすると、Lの近くにいたのは……

Lが何も残さなかったというその事実こそが、ニアにとって、Lの遺した何より大きな情報となったのではないでしょうか。

*****

「最後ニ、アナタノオ役ニ立テテヨカッタ、L」

小説「L change the WorLd」で、私が涙ぐんだいくつかのシーンのうちの一つが、このNの言葉です。
遠く離れた土地でLが斃れたことを一ヶ月もの間知らないままだった原作のニアに比べ、小説の彼は、直接ではないにしてもLと言葉を交わすことが出来ました。
通信を切ったあとのニアの思いは、どんなものだったのでしょう。

駿河さん。どうか彼を頼みます。
彼が一人で戦う時も、どうか独りにしないであげて下さい。
LからNに駿河さんが遣わされたことは、私にとって大きな救いです。この展開のおかげで、当初Nの登場に感じていた違和感を払拭することが出来ました。

「L change the WorLd」。
もしかするとこの小説は、もう一人のLとワタリが誕生するための物語でもあったのかもしれませんね。

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